トップページに戻る
  少年リスト   映画リスト(邦題順)   映画リスト(国別・原題)  映画リスト(年代順)

Jeg er William 僕はウィリアム

デンマーク映画 (2017)

アレクセンター・マウヌッソン(Alexander Magnússon)が主演するちょっと変わったコメディ映画。あまり難しく考えずに観るのに適している。ローティーンの少年が主役を務めるドタバタでないコメディ映画は案外少ないので希少な存在だ。この映画は、Dyster Fupz Aakesonが2013年に出版した同名原作が元になっている(作者=脚本家)。不幸な境遇の少年ウィリアムは、唯一の親戚である叔父に引き取られ、生まれ育ったロスキレを離れ、同じシェラン島のどこか田舎町に行って暮らすことになる。叔父は、早期退職し、ウィリアムには「輸入出」と適当に言い繕い、実態は盗品を仕入れては売るという違法行為で生計を立てている。そのくせ(自分のことは棚に置き)、他人を汚い言葉で罵ってばかりいる「嫌な性格」の持ち主だ。おまけに、賭けポーカーが好きときている。ウィリアムには、他にも問題がある。転校先で馴染めないというのはよくあることだが、ウィリアムの場合も、マーチンという悪ガキが金を出せと脅す。ウィリアムを見下して接する女の子ヴィオラもいる。そんな状況の中、叔父が賭けで大失態を演じ、返せそうにない借金を背負う。しかも、返済期日は目前。払えなければ死が待つのみ。そんな中で、どちらかといえば小心だったウィリアムは、思わぬ行動に出る。そして、それを助けたのは、精神を病んでまともに考えられなくなった母だった。母は、2つのメモを渡して、事態を劇的に変化させるが、それは、ある意味ではファンタジーと呼んでいいような「現象」だ。そこに、この映画、というか、原作の独自性がある(ファンタジー性が、ドタバタに転落するのを救っている)。命令する一方の叔父と、命令されっ放しのウィリアムの立場が、最後には逆転するのも面白い(お節介過ぎる面もあるが…)。

映画は、1つ1つのシーンがきわめて短く、それを積み上げていく構成になっている。そのため、あらすじも細切れにせざるを得なくなった。それらのシーンは、主人公であるウィリアムを中心に、①ウィリアムとニルス叔父、②ウィリアムと「変人」の母、③ウィリアムと町の大悪人ジャニスと猛犬のクーバ、④ウィリアムと「彼女候補NO.1」のヴィオラ、⑤ウィリアムと虐めっ子のマーチンの5つに分かれる。このうち、①が全体の半数近くを占める。それは、ウィリアムの生活が叔父に振り回されてしまっているからで、これほど濃密な叔父-甥関係も珍しい。2番目に多いのが8場面のヴィオラ、次いで6場面のマーチン、5場面のジャニスとクーバの順。4場面の母が一番少なく、登場時間も短いが、その母が映画全体のストーリーを左右するターニング・ポイントになっている。①では、ウィリアムの従順と思いやり、そして、諦観から反抗、さらには、お節介を通り越した「支配」まで、様々な面が見られる。②では、ひたむきな愛、③では、勇気と機知、④では憧れラヴ、⑤では服従と逆襲が中心だ。エピソードを増やすことで、ウィリアムの様々な側面を巧く引き出している。

なお、訳出にあたっては、デンマーク語とスウェーデン語の字幕を併用した。流布している英語字幕は、正規のデンマーク語をGoogleの自動翻訳にかけただけで、信用度ゼロ。その破綻は、最初の3行目で明らかになった。それは、ウィリアムが母について説明する独白部分。「僕はウィリアム。母さんは病気で病院暮らし。母さんは“a bullet”だ。父さんは死んだ。去年の夏、交通事故で。幸い、ニルス叔父さんはまともだった」。この“a bullet”。辞書には、①弾丸、②弾丸のように速い人、③黒丸、④トランプのエース、しかない。愛用の「Urban Dictionary」で、48もある使い方の中で、単数形では該当なし。複数形にすると「糞」というのがあったが、自分の母を「糞」というのは変だ。元のデンマーク語字幕では対応する単語は“kolbøtte”。辞書によれば、rollover(転覆)、somersault(宙返り)、roll around on the floor(床を転げ回る)。何のことか、さっぱり分からない。一方、スウェーデン語字幕では“knäppgök”。こちらは、weirdie,weirdy(変人)、nut(変わり者)、wacko(変わったやつ)。これでようやく意味が通じた。「母さんは変人だ」となる〔その直後、辛口の叔父も同じ言葉を使うので、「優しさ」のない訳にした〕。ラスト直前でも、ヴィオラのことを、英語字幕は、「僕にはボーイフレンドがいる」となっていて、自動翻訳のチェックを全くしていない。これも、ちゃんと見直せば「僕にはガールフレンドがいる」になる。いい加減な字幕ほど怖いものはない。

映画の公開の半年後に発売されたDVDは史上最低だった。ハイ・スペックの私のコンピューターでも、全く観ることができない。解析してみたら、DVDの中身は下のコピーのようなおかしな構造になっていた(最初(左側)と最後(右側)のみ示す)。
  
赤枠で示した部分が1つ分の映画に相当する情報なのだが、それがダミーでくり返され、そのためコンピューターのソフト(windows media player、Power DVDなど)では再生不能になっている。しかも、PAL方式なのでブルーレイレコーダーでも再生できない。コピーガードは販売会社の権利かもしれないが、購入した顧客がコンピュータで観られないというのは、明らかに行き過ぎだ〔買っても観られないDVDはゴミと同じ〕。とはいっても、私はリッピングや丸ごとコピーの違法ソフトの購入といった違法行為はしなくない。そこで、やむを得ない措置として、某ソフトの「1回だけ試行的に使える無料お試しサービス」を利用させていただいた。処理した結果、その中身は、右に示すように、通常のDVDと同じ構成になっていた。よくここまで解読できるものだと、ソストの能力には脱帽したが、次回からは新作DVDを買うのは控えざるを得なくなった。こうして顧客が買わなくなれば、コピーガードのやり過ぎに何の意味があるのか判らない。コピーガードはブルーレイだけでやめて欲しい。

アレクセンター・マウヌッソンは、撮影当時11歳で、映画初出演にして堂々たる単独主演。ウィリアムの独白が映画の中で始終流れていて、それは後で吹き込めばいいから楽だが、会話も結構多い。かなり大変な役だったと思うが、見事にこなしている。ギャングのボスに気にいられるような芯の強さ、精神病を患った母へのひたむきな愛、そして、はちゃめちゃな叔父への全面的な協力、移民の女の子ヴィオラとの友情。いろいろな要素を持った複雑な役柄だ。


あらすじ

映画の冒頭は、ほとんどがウィリアムの独白。端的に状況が説明される〔ウィリアムは、英語式の発音に思えるが、実際にそう発音している〕。「僕はウィリアム。母さんは病気で病院暮らし。母さんは変人だ。父さんは死んだ。去年の夏、交通事故で。幸い、ニルス叔父さんは まともだった」。ここで、埋葬のシーンが挿入され、叔父がウィリアムに話しかける。「ストレートに言おう。お前の父さんは死んだ。それに、母さんは変人だ」(1枚目の写真)「それで、誰が残った?」。「僕」。「ウィリアム、お前は俺が面倒をみてやる。父さんと母さんでは不運だった。幸運にも、叔父さんは 『黄金の心』 の持ち主だぞ」。「で、僕はロスキレから、ニルス叔父さんちに引っ越した。そこは、雑然とした敷地に建つ一軒家。叔父さんは早期退職者だ。腰が悪いとか申請して、ペダル付きのバイクに乗ってる。でも、叔父さんの腰は さっと治っちゃう。でないと、商品の重い箱は運べない。叔父さんの仕事は、買っては売ること。コーヒのフィルターから、掃除機、ワイン、薄型TVまで。その他、人の欲しがる物なら何でも。僕の部屋は、荷物で一杯になったり」(2枚目の写真)「がらんとしたり」〔ウィリアムのベッドがようやく見える〕。
  
  

彼は、スヴェンとベンシルの兄弟から安値で買って、それを、他の人に売りつけてる。結構いい値で。お陰で 腹いっぱい」(1枚目の写真)〔ウィリアムは気付いていないが、叔父が兄弟から買っているのは盗品。だから明らかな犯罪行為だ〕早期退職も悪くない」。そこで、叔父が声をかける。「お前のバカタレ教師に、俺の職業を訊かれたら、『輸入出』 って答えとけ」。「これが叔父さんの口癖。世の中バカタレだらけだ。警察はバカタレ、役所はバカタレ、政治家はバカタレ、マスコミはバカタレ。母さんを ちっとも治せない医者もバカタレ」。ここで、画面はバンに乗っているシーンに変わる。叔父が、「トロトロ運転するな! 何てバカタレだ」と前を走る車を見て怒鳴る。「叔父さん以外のドライバーは、みんなバカタレだ。速度違反のネズミ捕りはゲイだ。駐車場の警備員もゲイ」。叔父が窓の外を見て、「ゴルフやってるバカタレ見ろや。あいつらゲイだぞ」と言う(2枚目の写真)。「バカタレもいっぱいだけど、ゲイもいっぱい」。
  
  

僕たちは、日曜ごとにロスキレの母さんに会いに行く。欠かさずに。母さんは、精神を病んでる。精神を病んでると、まともに考えられず、突飛なことを考えて、頭がごっちゃになる〔ロスキレは、コペンハーゲンの西30キロにある町〕。ここから、病院内のシーンに変わる。「叔父さんは、みんなを『変人』って呼ぶ。母さんや、病院にいる人全員だ」。そして、母の病室。「お見舞いはいつもチョコレート。大好きなんだ」(1枚目の写真)。ウィリアムは優しく母を見守るだけで何も言わない。叔父が、「何か言えよ。喜ばせてやれ。座ってるだけじゃないか」と催促しても、見ているだけ。「母さんはよく微笑む。母さん流に」(2枚目の写真)「誰にだろう?」。ここで5歳の頃のウィリアムと母がじゃれ合う姿が映る〔母はまだ正常だった〕。「母さんは、今の僕に 微笑んでるのか? 昔の僕に 微笑んでるのか? たぶん、両方だろう」。ここから先は、独白は要所要所だけになる。
  
  

叔父が、玉子を見せて、「これは何だ?」と訊く。当然、「玉子」と答えると、「違う。これは、スーパーフードだ」という返事(1枚目の写真、矢印は玉子)。「自然の奇跡だ。高い栄養価、たんぱく質、必須アミノ酸が殻に詰まっとる。長期間保存可能で、格安の栄養食品だ」。結局、その結果どうなったか… 「僕たちは、毎日 玉子ばかり」。うんざりしたウィリアムが、「他のもの、食べない?」と訊くと、「なんで?」。「飽きちゃった」。「何がいい?」。「パスタ」。「そりゃゲイだ」。「幸運の女神が微笑むと、玉子の上に ベーコンやソーセージが乗る」(2枚目の写真)「微笑まないと、何も乗らない」。偏食だが健康に害はない〔2015年版の日本人の食事摂取基準で、卵のコレステロールの悪玉説は完全否定された〕
  
  

次の話題は、叔父の賭けトランプ好き。「賭けトランプは、女神の気分次第。そして、叔父さんは、その賭けトランプが大好き。トランプの夜、叔父さんの部屋は満員になる。みんなでタバコをふかし、ウォッカを飲み、夜じゅう賭けている。僕は、グミの袋を渡され、自分の部屋に行かされる。邪魔になるからなんだって。グミなんか嫌いだけど、それを話したことはない。だから、袋は貯まる一方だ〔あとで、グミの袋は何度も登場する〕。そして、賭けの翌朝は… 「女神が微笑むと、叔父は最高にご機嫌。僕を『船長』って呼ぶ」。叔父は、踊りながらウィリアムのシリアルに牛乳をかけ、手に持った砂糖をふりかける。お陰で、テーブルには、溢れた牛乳とこぼれた砂糖が散乱(1枚目の写真、矢印)。「女神が微笑ないと、声もかけてくれない」(2枚目の写真)。ウィリアムは、「学校に行くからね」と声をかけるが、当然返事はなし。ランチも持たずに出て行く〔学校までは遠いが、いつも徒歩〕
  
  

ウィリアムは1人で田舎道を歩いている。「幸せな人と不幸せな人がいる。僕は最悪だ。ロスキレにいた時は幸せだった。学校でもね。新しい学校じゃ、友達はゼロ」。その時、後ろから3人が近づいてくる。「マーチン、ミラー、アーノルだ」。友好的な雰囲気ではない(1枚目の写真)。マーチンは、「殴られたいか?」と訊いてくる。答えるのを渋っていたが、「イエスかノーか?」と迫られ、「『ノー』 だ」と答える。殴られる代わりにナップザックを奪われて突き飛ばされ、中に入っていた文房具は地面に捨てられる(2枚目の写真、矢印はウィリアム)。マーチンは、手下を従え、「学校で会おうな」と言って去って行く。
  
  

ウィリアムが、茂みに倒れたままじっとしていると、「ウィリアム?」と呼ぶ声が聞こえる。仰向けになって見てみると(1枚目の写真)、そこにいたのは憧れのヴィオラだった。「遅れるわよ」。「やあ、ヴィオラ」。「そこで何してたの?」。「僕、あちこちで、いろんなもの失くしちゃうから」。ウィリアムの独白が流れる。「『ヴィー(私たち)』 の VI、『オ』 の O、『ラ』 の LA」。そして、地面にはハートマーク付きの「VIOLA」の文字が映る〔空想〕。「髪、自分で切るの?」。「母さんは、シラミに触りたくないの。短髪もファッションよ」。「似合ってるよ」。「その気にならないでね、ウィリアム。行きましょ」。「『その気』 って?」(2枚目の写真)。「タイプじゃないもん〔Du er ikke min type〕」。これは、痛い言葉だ。「あなた、弱虫よね。違う? タフ・ガイがタイプなの。女の子は みんなそうじゃないかな。たとえ嘘つきでも、暗殺や銀行強盗で投獄されるような人でも」。これでは、ウィリアムも諦めざるをえない。
  
  

いろいろあった1週間が過ぎ、ウィリアムは病院で母と面会する。短いが重要なシーン。叔父が、「そろそろ行くぞ。来い」と言い、ウィリアムが母に抱きつく。すると、母はいつもと違ったことをした。折り畳んだ小さな紙を、ウィリアムの手に握らせたのだ(1枚目の写真、矢印)。叔父は、病院の階段を降りながら、「いつも通りだったな。コケコッコー、ガーガー」と、母の悪口を言う。家禽の鳴き声は、「変人」「バカタレ」「ゲイ」と並ぶ口癖だ。彼は本当に品がない。バンに乗ると、ウィリアムは、母からもらった紙をこっそりと見てみる。そこには、「犬と散歩〔Gå med hunden〕」と書いてあった(2枚目の写真、矢印)。「変なメモだな。犬なんて どこにもいないのに」。
  
  

月曜になり、ウィリアムは学校に向かう。「学校までは 結構遠い。叔父さん曰く。運動になるし、バスに金を払うのはゲイだって」「家の裏手から出発。団地を抜け、サッカー場を横切り、線路づたいに茂みを抜けると、ちょうど 線路を跨ぐ橋の前に出るんだ。でも、今朝はマーチンの奴らにブロックされてた」(1枚目の写真)。マーチンが、「よお、ウィリアム」と声をかける。「『みかじめ』払えよ」。「『みかじめ』?」。「優しくしてもらえる 礼金だ」。「お金なんかないよ。叔父さんは、小遣いはゲイだって」。「俺の知ったこっちゃない。明日、100クローネ〔1700円〕持ってこい(2枚目の写真)。「さもないと優しくしてやらないぞ。嫌われたいのか?」。タチの悪い不良はどこの国にもいる。
  
  

その日の夕方。「叔父さんが、入念に出かける用意をしていた」。叔父は、鏡の前で入念に身づくろい。髭剃りが終わると、脇の下にスプレーを吹きかける(1枚目の写真、矢印)。それを見たウィリアムは、「それって、香水?」と冷やかす(2枚目の写真)。「香水って、ゲイじゃなかった?」。「これは、『臭い消し』だ。男用のな。大事な夜だから、汗臭いと困る。今夜の賭けの相手は大物、町一番の奴だ」。ウィリアムは、マーチンのことがあるので、「100クローネ貸してくれる?」と頼むが、「幸運の女神が微笑んでくれたらな」と断られる。「テーブルの上に、グミの大袋がある。テレビは11時までだぞ。じゃあな、チャンプ」。こうして叔父は出かけて行った。
  
  

夜。ウィリアムは雷鳴で目が覚める。怖くなって叔父の様子を見に行くと、叔父は、居間のソファに仰向けになり、身動き一つしなかった。「叔父さん」と声をかけても返事がない(1枚目の写真)。「僕は、世界中で一番 不幸な子だ。母さんが変人になり、父さんが死んで、今度は、叔父さんが死んじゃった」。ウィリアムは、「何で死んじゃったの?」と叔父にすがりつく。すると、すぐに反応があった。「生きてる!」。しかし、叔父は、おぼろげな声で「ニルス叔父さんは、死んだ」とつぶやく。「生きてるじゃない」(2枚目の写真)。叔父の返事は、「寝て来い… やっちまった。お陀仏だ。終わりだ」。
  
  

翌朝、一人で朝食をとりながらウィリアムは考える。「なんで、『お陀仏』なんだろう? 生きてるじゃないか」。そう考えながらシリアルに牛乳を注ぐと、ドロドロになっている(1枚目の写真、黄色の矢印は腐った牛乳、空色の矢印はグミの袋)。「マーチンの奴らに100クローネ渡さないといけない。僕は持ってないし、遅刻寸前だ〔時計は8時14分を指している〕。ウィリアムは、牛乳が臭かったし、時間も遅いので、シリアルはそのままにし、テーブルに置いてあったグミの袋を持って家を出る。すぐに、授業のシーンに変わり、ヴァイキングの歴史の話が少し出て、午前の授業の終わりを告げるベルが鳴る。ウィリアムが何もせずにいると〔ランチを持ってくる時間などなかった〕、ヴィオラがサンドイッチを持って寄って来る。「ランチは?」。「ないよ」。「ダイエット中?」。「ううん」。「お腹空いてない?」。「少しね」。「じゃあこれあげる。だけど『その気』にならないでね。私、食べたくないの。毎日同じものばかりだから」。ここで、如何にも したり顔といった面持ちで、ウィリアムが「よく分かるよ」と言う〔ウィリアムの夕食は玉子料理だけ〕。ウィリアムは、サンドイッチにかぶりつく(2枚目の写真)。
  
  

そして、学校の帰り。マーチンは、跨線橋の上で待っている〔ここを渡らないと、家に帰れない〕。「100クローネ、出してもらおう」。ウィリアムは、お金をもらえなかったので、代わりにグミの袋を渡す。「何のつもりだ?」(1枚目の写真、矢印)。「グミだよ」。「見りゃ分かる。グミなんか持ってきやがって。俺は糖尿だ。インシュリンができないんだ。おちょくる気か?」。「知らなかったんだ」。そして、マーチンは宣告する。「明日200クローネ持ってこないと、嫌われるぞ」。ウィリアムは、思わず、「200?」と訊き返す。「そうだ」。ウィリアムは仕方なく頷く。それを見たマーチンは、「ウィリアム、お前はいい奴だ」と言ってウィリアムの頬をポンポンと叩く(2枚目の写真)。「200クローネ持って来いよ。友情のためだ」。
  
  

ウィリアムが家に戻ると、叔父は放心状態。そして、「いい子だな、ウィリアム。使い走りで、ウォッカとタバコ 買ってきてくれ」と言い出す。「子供だから、そんなもの買えないよ」と答えると、「助け合えないんなら、自分でしないとな」と嫌味を言いつつ立ち上がるが、既に泥酔していて、まともに歩けない(1枚目の写真、倒れるところ)。ウィリアムは、叔父に付き添って買い物に行く。近くの小さなショッピング・モールで、2人の前に現れたのは、怖そうな大きな2人の男。若い方が、「よお、ニルスじゃないか? 銀行でも行くんか?」と声をかけてくる。もう一人の兄貴分の方が、「返済のためだな。大金だから気をつけないと。ちょうど出会ったんだ。銀行まで一緒に行ってやる。ジャニスに返すまで、護衛しよう」と言う。それを聞いた叔父が、「チーク製のガーデン家具がある。それをジャニスがもらってくれて、代わりに返済の猶予を」とすがるように言うと、「庭の家具だと?」「チーク製?」とバカにされただけ。有り合わせのお金を見せて、「これもある」と言うが、「はした金だ」「俺たちを何だと思ってる?」「バカにする気か? このクソが!」と、お金を投げ捨てられただけ。「待ってくれ。金を作るには、時間がかかるんだ」(2枚目の写真)。「24時〔今夜〕が支払い期限だ。ジャニスは待たんぞ。全額返済だ。それしかない」。2人の男は去って行く。残された叔父は、ウィリアムに、「お前の叔父さんは、真夜中には死人だ」と、あきらめ切っている。ウィリアム:「ジャニスって?」。叔父:「いわば、死刑執行人かな」。「借金は幾らなの?」。「山ほど」。そして、「地獄だ。女神は何してた?」と、賭けトランプにのめり込んだ自分の愚かさは棚上げにする。
  
  

叔父は1人で家に帰って行き、ウィリアムが1人残される。「僕も叔父さんも、不幸のドン底だった。叔父さんはジャニスから、僕はマーチンから」。そして、捨てられたお札を、茂みに入って拾っていると、「聞こえてる?」と声がかかる(1枚目の写真、黄色の矢印はヴィオラの自転車、空色の矢印はお札)。それはヴィオラだった。ウィリアムが彼女から声をかけられるのは、いつも茂みに潜っている時だ。「なぜ、また、茂みの中にいたの?」。「拾うものがあったからさ。お金だよ。僕のじゃない。叔父さんの。ジャニスに借金があるんだ」。ここで、ヴィオラが反応する。「ジャニス?」。「知ってるの?」。「みんな知ってるわ。悪い奴よ。町中で一番怖い男」。ウィリアムは、「どこに行けば会えるか、知ってる?」と訊いてみる。普通なら、女の子が町一番のワルの居場所など知るはずないのだが、彼女は知っていた。そして、ウィリアムを自転車に乗せて連れて行ってくれる。そこは、倉庫のような場所だった。「ここなの?」。「ええ」(2枚目の写真)。「叔母が彼の愛人なの。すごい美人よ。脚が長くて、『ナッツ〔nødder〕』が大きいの」。ウィリアムは、“nødder” の普通の意味しか知らない。画面にはナッツの写真が出てくる〔“nødder” の意味は、デンマーク語・英語辞典では “nuts” だけ。そして、“nuts” のスラングは「キンタマ」で、これは女性とは無関係→ヴィオラが何を言おうとしたのか不明〕
  
  

ヴィオラは、「ジャニスと話したい時は、あのドアをノックするの。度胸があるならね」と教える。ウィリアムは、迷わず、すたすたとドアの前に歩いていく(1枚目の写真)。この時点で、ヴィオラは逃げるように去って行った。ウィリアムは、大きな鉄扉を、ドンドンと叩く。大した勇気だ。すると、ドアが少し開き、先ほど叔父を脅した若い男が顔を見せる。相手が子供だったので、相手も驚くが、それでも、「何だ?」と尋ねる。「ジャニスさんと話せる?」。「何を話す気だ?」。「ニルス叔父さんのこと。借金してるから」。ニルスの名前を出したので、ウィリアムは中に入れてもらえる。そして、御大ジャニスの前に。「ジャニスは、いっぱい指輪してる。口ひげがある。靴を履いてない。大きな黒い犬がいる。首に鎖を巻いてる。長髪だ」(2枚目の写真)。「金を持って来たのか?」。「今日は、持ってません」。ウィリアムは、「俺をコケにする気か?」と脅され、「少し時間をもらえないか、お願いに来たんです。叔父さんが借金を返せて、死なずに済むように。でないと、僕、一人ぼっちになるんです」と正直に述べる。それでも、返事は、「叔父さんは、もっと注意して賭けるべきだったな」。普通なら、ここでスゴスゴとなるハズなのだが…
  
  

ウィリアムにとって幸いことに、ジャニスとの間にいた獰猛な犬が、ウィリアムを気に入ってくれた。犬は、ウィリアムの顔の臭いを嗅ぎ、舌で顔中を舐め回す(1枚目の写真、矢印は舌)。ウィリアムは何をされても耐えて踏ん張った。それを見たジャニスは、「犬の名はクーバ。これまで、俺にしか懐(なつ)かなかった。ワケは分からんが、お前が気に入ったようだ」と前置きし、「犬には、毎日の散歩が必要だ」と言い出す。この時、ウィリアムの頭を、母の書いたメモの言葉、「犬と散歩」が過ぎる。そこで、ウィリアムは、「いいよ」と答える。「いいか、お前は毎日、学校が終ったら ここに来て、クーバを散歩させる。分かったか?」。「はい」(2枚目の写真)。これで合格。「その代わり、お前のアホ叔父には、1週間猶予をやる。水曜の12時までだ。昼のだぞ」。
  
  

そのまま家に戻ったウィリアムが見たのは、ソファでぐったりしている叔父。茂みの中で集めたお金を、「叔父さんのお金だよ」と言って、テーブルに置く。さらに、「ジャニスと話したんだ」と声をかけるが、叔父は酔って寝ているように見える。「毎日、学校の後で、犬を散歩させないと」。一向に反応がないので、顔を近づける。「その代わり、借金のお金を稼ぐのに7日もらえたよ」(2枚目の写真)。聞こえるのは寝息ばかり。「水曜日の12時までだ。お昼のだよ」。一応、伝えるべきことは言ったので、今度は交渉する。「200クローネ借りていい? マーチンって奴にやるんだ」。返事はない。そこで、「じゃあ、いいんだね」と、さっき置いたお金を拝借する。
  
  

翌朝。ウィリアムは若干遅刻。叔父が寝たままなので当然かも。教室に入ろうとしていた教師は、転校生の様子が心配なので、「おウチの方(ほう)は?」「クラスの方は、順調?」「友達はできた?」と訊くが、返事は、それぞれ、「サイコー」「はい」「ちゃんと」と嘘ばかり。それでも、内容は肯定的なので、「何か困ったことができたら、すぐに相談に来るのよ」としか言えないし、ウィリアムには相談するつもりなど一切ない。昼食の時間。ヴィオラは、またサンドイッチをくれる。「昨日は、ドアをノックした?」。「うん」。「入れた?」。「うん」。「それで?」。「ジャニスと話した」(1枚目の写真、矢印はサンドイッチ)。それを聞いたヴィオラは、「嘘つき」と断じる。「違う」。「ジャニスと何を話したの?」。「毎日、学校が終ったら、犬を散歩させるんだ。それで、借金を7日返さなくていい。水曜の12時まで。お昼のだよ」。ヴィオラは、叔母のこともあるので、ジャニスに詳しい。すごく怖い犬がいることも知っている。そこで、「クーバ?」と訊く。「うん」。「クーバを散歩させるの?」。「そうだよ」。ヴィオラは、2度目の「嘘つき」(2枚目の写真)。そして、見切ったように自分の席に戻る。
  
  

そして、帰宅時。跨線橋の上で。マーチンに「持ってきたか?」と言われ(1枚目の写真)、ウィリアムはポケットからお札を取り出して渡す。半信半疑だった3人は、「200クローネだ!」「ロスキレ銀行だな」とご満悦(2枚目の写真)。
  
  

ジャニスとの約束は、「学校が終ったら」なので、ウィリアムは倉庫に直行する。ドアを叩き、出てきた若い男に、「クーバと行くんだ。これ預かってくれる?」とナップザックを渡す。ドアは一旦閉まり、今度は、ジャニス本人がクーバを連れて姿を見せる。唸る犬に、「お座り」と2度言い、おとなしくさせる。そして、ウィリアムに向かって、「俺は、この変な奴が 何より好きなんだ」と話す。「何か あったら…」と警告しようとすると、クーバがいきなりウィリアムの顔を舐めたので(2枚目の写真、矢印は舌)、そこで終わり。ジャニスは、意外なことに、飼い主としてのマナーはちゃんとわきまえていて、「糞をしたら、ちゃんと拾え。マナーは守らんとな」と言って、黒いポリ袋を渡す。リードを渡されたウィリアムが、「お座り」と言うと、一発でおとなしく座る。クーバは、ジャニスよりウィリアムの方が、気に入っているようだ。
  
  

アパートの広い中庭の芝生地まで来たクーバが最初にしたことは、茂みで糞をすること。すっきりしたクーバは頭をぶるぶると振る(1枚目の写真)。そして、ウィリアムが首輪からリードを外すと、猛烈なスピードで駆けて行く。「クーバ、戻って来い!」と叫んでも、聞いてくれない(2枚目の写真、黄色の矢印がクーバ、空色の矢印がウィリアム)。クーバは団地の周囲の芝生の上を走り回ってはおしっこをするので、なかなか戻って来ない。
  
  

その間に、ウィリアムは一番やるたくないことをする。糞をポリ袋に入れる作業だ。茂みの中に入り込んでいると、またまたヴィオラが「聞こえてる?」と声をかける(1枚目の写真、矢印はポリ袋)。「やあ… ここで 何してるの?」。「住んでるわ。また、茂みでゴソゴソ?」。「クーバと一緒だった。リードを外したら…」。「なーるほど」〔リードだけ持っているので、嫌味で言った〕。「ホントだよ」。「じゃあ、どこにいるの?」。「今は…」。ウィリアムは、周囲を見回すが…(2枚目の写真)。「さっきまで、いたんだ」。「そう… じゃあね、嘘つき君」〔3度目〕。ヴィオラがいなくなると、クーバが戻って来る。ウィリアムは、クーバに、遠くに消えるヴィオラの姿を見ながら、「ヴィオラだよ。ウィリアムとヴィオラ」と言うので、今でも彼女に気があることは確か。ウィリアムは、クーバを返しに行き、最初の結果報告をする。「何か問題は?」。「いっぱい走って、ちゃんと戻って来たよ」。「明日、同じ時間だな?」。この言い方は、ジャニスが満足した証拠。「うん」。威張っている若い男が、クーバを怖がるのは可笑しい。
  
  

家に戻ったウィリアムは、叔父に質問攻めにされる。昨日は半分寝ていたので、何を言われたのか分からなかったからだ。「どこにいた?」。「学校。それから犬の散歩」。「ジャニスが、7日くれたって言ったか?」。「うん。水曜の12時までだよ。お昼のね。真夜中じゃなくて」。「なんで猶予してくれた?」。「僕が、学校の帰りに、犬を散歩させるからだろ」(1枚目の写真)。これで、叔父にもようやく合点がいく。叔父は、ウィリアムの頭を撫でる(2枚目の写真、矢印)。
  
  

叔父は人が変わったようになる。身だしなみを整えた叔父は、ウィリアムが横になっている部屋にズカズカと入って来ると、「7日は7日だ。稼ぐにはギリギリだ。グタグタ嘆くのはゲイだけだ」(1枚目の写真)「じゃあ、在庫を売りまくるぞ」と発破をかける。そして、「てことは、ここにある物は全部売るんだぞ」と言うと、ウィリアムの部屋に置いてあった商品の箱をつかみ、「いくぞ」と運び始める。ウィリアムも別の箱を持って後を追う。持っている箱には、“Suvivor XB” と書いてある(2枚目の写真)。これは、オフロード・デューンバギー車の12分の1のおもちゃ〔海外ネットで9000円くらい〕。次にバンに入れたのはWASCO社の電子レンジ。その他、あれやこれやでバンは満杯になる。「じゃあ、乗れ」。「僕も行くの?」。「そうだ。今日は木曜だ。あと、金曜、土曜、日曜、月曜、火曜、水曜の12時だ」。「お昼のね」。「生き残りが かかっとる」。
  
  

叔父が最初に売ったのは、白木製のガーデンチェア。「安定度抜群。どうだね? 心地いいだろ?」とセールスし(1枚目の写真、矢印)、相手の言い値850クローネ〔1万5千円〕で売る〔国内ネットで、類似のものが1万円で売られていた〕。バンに戻って来た叔父は、もらったお金を手に持ち、ウィリアムに長々と説明する。「いいか、よく聞けよ。この金は、お前が持ってろ。受け取ったら、保管する。俺に分からんようにな。それはな… 自分が、信じれんからだ。使っちゃいかんのだ。稼いだ金は、ちゃんと取っておいて、ジャニスに返さんといかん。いいな」。叔父は、持っていたお金をウィリアムに渡す。そして、「俺が、頼んだり、すがったり、『金を寄こせ』と叫んでも、渡しちゃいかん。いいな?」と指令を追加する。「いいよ」。「よし」。その後、叔父は思わぬことを言い出す。「どうだ。ダマされたか? 冗談だ。金を寄こせ」。何のことか分からないウィリアムはお金を返す。すると、叔父が咎める。「お前 バカか? 能なしか? 何があっても 渡すなと言ったろ?」(2枚目の写真、矢印はお金)「お前は、俺が『金を寄こせ』と言ったら、すぐに渡した。このバカめ! 今度からは引っかかるな。抜かるなよ。しっかりしろ。死ぬのは嫌だ」。如何に叔父が必死か、そして、自分自身を信用していないかが分かる。こうして、ウィリアムは、叔父が何と言おうが、絶対にお金を渡さない子になった。
  
  

商品はどんどん売れ、売り上げ金は、すべてウィリアムに渡される。1日の商売が終わると、ウィリアムは、お札を筒状に巻いて輪ゴムで留める。余裕のできた叔父は、「学校はどんな具合だ?」と訊く。「いいよ」。しかし、その後がひどい。「お前の教師は 見かけ倒しのバカタレだ。保証書付きだ。どうしようもないバカ。そのうち、授業中に踊り出すかもしれん。なるべく離れてろよ。いいな?」(1枚目の写真)。家に帰ったウィリアムが、自分の部屋の中をうろついている。「僕は、お金の隠し場所を捜した。安全なトコ。なかなか見つかんない」。結局、手の届かないような場所はやめ、手近な戸棚を開け、丸めた札束の上にグミの袋を置き(2枚目の写真、黄色の矢印は札束、空色の矢印はグミの袋)、その上にプラスチックの角籠を乗せることにした。隠し終わったウィリアムは、ベッドに倒れ込む。「長かった… 歯なんか磨けないや」「だけど、僕、幸運なのかも。マーチンには200クローネ渡した。クーバは ご機嫌。『輸入出』もいっぱい売れた。ヴィオラには、また、嘘つき呼ばわりされたけど… 微笑んでた」。
  
  

残り5日」「残り4日」と表示される。すべては順調に進み、日に何回も作る札束の筒で、隠し場所はいっぱいになってきた(1枚目の写真、矢印は手に持った札束)。ウィリアムはぐったりと疲れ(2枚目の写真)、独白も流れない。
  
  

そして、「残り3日」。日曜日だ。学校はなくとも、クーバを散歩させてウィリアムが戻ってくると、叔父が、「何しとった?」と訊く。「クーバの世話だろ」。「売るものがいっぱいある」。しかし、ウィリアムは動こうとしない。「日曜だ。日曜は母さんだ」。「今日は、変人はパスだ」(1枚目の写真)「やることだらけだ」。「母さんだ」。「いつまでも母さんにくっついてるような奴は、ゲイだぞ」。この言葉に、ウィリアムはカチンと来る。そして、決然として反論する。「知るもんか! 日曜は母さんに会いに行く!」。「いっぱい回らんと。商売だ。行くぞ」。こうした専横的な叔父の態度に、ウィリアムは切り札で対抗する。「もうクーバの面倒は見ない。自分でジャニスと交渉しろよ。2人の大男の前で、泣きべそかいたくせに」(2枚目の写真)。これで勝負はついた。小心の叔父には、ジャニスと交渉する勇気などない。今まで、ウィリアムに甘えていたことに、ようやく気付く。そこで、病院に寄ってから、販売に行くことに同意する。
  
  

病院のシーンは、屋外の芝生(1枚目の写真)。母と並んでベンチに座ったウィリアムは、「犬と散歩してるよ。大きくて黒いんだ。みんなは怖がるけど、僕は クンクンされてもガマンした。僕が、好きなんだ…」と、母のメモに従って行動したと報告する。叔父が、「もう十分だろ。行くぞ」と声をかけると、母は、ウィリアムの手を取り、2つ目のメモを握らせる(2枚目の写真、矢印)。「日曜に、会おうね」。遠く離れてから、叔父は、「ガーガー、コケコッコー、バイバイ」といつもの悪態。どうしようもない人間だ。バンに戻ったウィリアムは、また、こっそりメモを見る。そこに書いてあったのは、「バナナを買う〔Køb bananer〕」。再び謎の言葉だ。
  
  

そして、月曜日。「残り2日」。マーチンたちが、跨線橋の上で待ち構えている。「やあ、ウィリアム。あの200クローネ、効果あっただろ? お陰で、今じゃ友だちだ」(1枚目の写真)。他の2人が、「うまく行ってるだろ」「仲良しだもんな?」と勝手なことを言う。そして、マーチンの切り札。「明日、200ローネ持って来い。分かったな?」。頭にきたウィリアムは、何も言わずに睨みつける。「返事は?」。ウィリアムはマーチンをもう一度睨むと、3人を押しのけて去って行く(2枚目の写真)。
  
  

学校に着いたウィリアム。授業中も眠くてたまらない(1枚目の写真)。それに気付いた教師は、ウィリアムを廊下に出して事情を訊く。ウィリアムの説明は支離滅裂で、教師に100%理解できたとは思えない。「疲れたんです。少し」。「なぜ疲れたの?」。「ニルス叔父さんの商売を手伝ったから。昨日は、夜遅くまで」(2枚目の写真)「遅くなったのは、母さんに会いに行ったせいで、それには僕にも責任が」。「商売って、何を売ってたの?」。「『輸入出』だよ」。「それ、何なの?」。「耕運機、コーヒー・メーカー、薄型テレビ。人の欲しがる物。スヴェンとベンシルの兄弟から買うんだ。バンで運んで来て、僕たち、それを売ってる。僕が、クーバを散歩させ、叔父さんは、ジャニスからの借金を7日延ばしてもらった。水曜の12時まで。犬の散歩のお陰。12時って、お昼のね。だから、疲れてるの」。
  
  

クーバの散歩。クーバが、また走っていなくなると、そこに自転車に乗ったヴィオラが通りかかる。今度は、ウィリアムの方から、「ヴィオラ!」と呼びかける。こんな積極的な行動は初めてだ。ヴィオラは呼ばれたのを無視してそのまま消える。ウィリアムが捜しに行くと、小屋の屋根上から、「こっちよ、嘘つき君」と声がかかる。わざわざこんなことをするのは、ある程度 気がある証拠だ。それでも、「また、空想のワンちゃんと一緒なの?」と冷やかす。ウィリアムは、手に持ったリードを見ながら、「空想じゃないよ」と反論。結構おてんばなヴィオラは、屋根からさっと降りると、「また、リードだけ?」と言うなり、ウィリアムの手からリードを取り上げる。すると、効果音としていきなり「ワンワン」という子犬の鳴き声が入り、それに振られるように、ヴィオラが如何にも子犬を連れて散歩してる、といった格好で歩いてみせる(1枚目の写真、矢印の先に「空想の子犬」がいる)。彼女の、リードを持っての演技は、その先に本当に犬がいるようで、結構上手だ。「ダメよ!」「そうそう」、そして、最後は、「お座り」で空想犬の散歩は終わる。ウィリアムは感心して見ている。2人はいい感じ。すると、ヴィオラの背後に戻って来たクーバが突然吠える。ヴィオラは訳も分からず、びっくりして飛び退く。「吠えるな! クーバ、お座り」。ウィリアムには忠実だ。それを見たヴィオラは、「クーバじゃない!」と驚く。「言っただろ」。「すごいわ、ウィリアム。あなたって イカすのね。見直しちゃった」(2枚目の写真)。その夜、叔父とウィリアムは商品をさばきに出かける。叔父が、息子たちとローラースケートで遊んでいる父親に、ローラースケートを売ろうとする。父親は、足元をみて、文句をいっぱいつけ、結局、600〔8500円〕で売らせる〔子供用なら、国内ネットで5000円くらい〕。叔父は、バンに戻ってくると、「何て奴だ。話にならん」「ちきしょう! クソッタレ!」と憤懣やるかたない。「いっぱい売れてるじゃない」。「だが、安く売り過ぎだ。もっと早くさばかないと」。「どうしたら?」。「思い切ったことだ」。
  
  

残り1日」。ウィリアムは、早朝から部屋に入って来たスヴェンとベンシルによって起こされる。叔父が昨夜言った、「思い切ったこと」が、直ちに実行に移された結果だ。2人は、ウィリアムの部屋に残っていた商品をすべて持って出て行く。彼らは、倉庫も含め、家じゅうに置いてあったすべての商品を回収した。ウィリアムは服を着る間も惜しんで居間に行くと、そこにドンと座っていた叔父に、「どうして 全部持ってったの?」と尋ねる。「買い戻させたんだ」。「良くないこと?」。「ああ。買った時は、仕入れ値。売ったら、二束三文。それが奴らのやり方なんだ。足元を見て買い叩く」。そこに、お金を持ったスヴェンが現れて、「きれいさっぱりだ。ありがとよ。そのうち また、取引しようぜ」と言い、サヨナラする。ウィリアムは、さっそくその金を回収し、幾らあるのか数え始める。すると、叔父が、「もういい。金を寄こせ。これまで貯め込んだ分もだ」と言い出す(1枚目の写真)。しかし、以前の訓練で、「金を寄こせ」には徹底的に抗戦するよう叩き込まれたウィリアムは、渡そうとしない。「これ、しまっとく」。「寄こすんだ。誤解してないか?」〔以前とは、全く状況が変わっていた。あの時は、在庫を全部売れば、借金を返済できると思っていたが、売り急いだため金額がまるで足らなかった。「思い切ったこと」の中には、スヴェンに買い戻させるだけでなく、それ以上の目論見があった。それには、すべてのお金がいる〕。ここからは、あくまでお金を守ろうとするウィリアムと、どうしてもお金が必要な叔父の間での、奪い合い(2枚目の写真)。ウィリアムは、自室に閉じ籠もって中から鍵をかける。「もう終わったんだ。出ろ!」。「約束だろ!」。「終わったんだ! ジャニスに返すには、金が足らん! 売る物はなくなった! 稼がにゃならん!」〔この「稼ぐ」が曲者〕。「渡すもんか!」。「ウィリアム。殺されちまう。分かっとるのか?」。「これは使わせない!」。「金がないと、ジャニスに殺される。助けてくれ。いいか! その金で稼ぐんだ!」。「いやだ!」。
  
  

ウィリアムは、懇願を続ける叔父を残し、窓から抜け出して学校に行く(1枚目の写真、矢印)。身一つで抜け出したので、当然ランチもない。ヴィオラがいつも通り持って来ると、今日に限って、「お腹 空いてない」(2枚目の写真、矢印はサンドイッチ)。「カバンはどうしたの?」。「持って来てない」。ウィリアムは、切羽つまっているので、いつものようにヴィオラに優しくない。彼女は、サンドイッチを持って寂しそうに引き上げる。
  
  

帰宅時。跨線橋の上で待っていたマーチンに対して、ウィリアムは剣もほろろだ。睨み付けると(1枚目の写真)、「金は出さない。一銭もだ! 聞こえたか? お前なんかに渡すもんか!」と怒鳴る。「どうしちまった?」。「誰も 怖れない。何も 怖れない。父さんは死に、母さんは変人だ。叔父さんも もうすぐ死ぬ。僕はロスキレっ子だ! バカにするな!!」。そう叫ぶと、マーチンを突き飛ばす(2枚目の写真)。マーチンは、仰向けに転倒する。倒れたマーチんに向かって、ウィリアムはさらに怒鳴る。「分かったか! ロスキレっ子だぞ! こんチクショウ!!」。立ち去りながら、振り向き、「ロスキレ!!」と3度も絶叫する。親分がやられ、残った2人も怖くて何もできない〔ジャニスの前で平然としていられるくらいだから、マーチンなんか相手にならない〕
  
  

ウィリアムが家に帰ると、叔父の様子は一変していた。革のチョッキにパリっとしたネクタイ姿。そして、「よお、チビ簿記係君」と呼びかける。「どうしたの?」。「何で訊く?」。「何で、嬉しそうなの?」。「嬉しそうじゃ、ダメなのか?」。その時、ウィリアムの背後で、玄関のドアがノックされる(1枚目の写真、矢印はノックする手)。それは、何と、2人の警官だった。「ニルス・ハイルセンさん?」。「ええ。そうですが」。「捜索令状があります」。叔父は、余裕たっぷり、にこやかに、「確かに。どうぞ」と渡された令状をざっと見て返す。「あなたが盗品売買に関与した疑いです」。「盗品売買? まさかそんな。どこなりと調べて下さい。私は、可愛い甥と 居間で待ってますから。用がある時は、呼んで下さい」〔あまりに余裕たっぷりで、かえって怪しい。しかし、叔父としては、スヴェンとベンシルがきれいさっぱり持ち去った後なので、余裕綽々なのだ〕。心穏やかでないのは、その話を聞いていたウィリアム。居間で、叔父の横に座ると、「『盗品売買〔hælervarer〕』してたの?」と訊く(2枚目の写真)。この言葉、一般的ではないので、ウィリアムには理解できなかったが、警察からの家宅捜査を受けるほど悪いことだとの察しはつく。叔父の返事は「まさか」と全面否定。そこで、「『盗品売買』って、何?」と、改めて訊く。「盗んだものをだな…」。そこまで聞くと、ウィリアムにも仕組みが分かってくる。そこで、「誰かが盗んだものを 売ってたの?」と責める。「違う」。叔父の否定は耳に入らない。「叔父さん、悪い人なんだ」。「やめろ。そんなことは しとらん」。まだ、警察が捜査中なので、うかつなことは言えない。それでも、「スヴェンとベンシルのアホどもが、きれいさっぱり掃除してくれて 感謝しないとな」と本音もちらり。そこに。捜査を終えた2人が現れる。「また来ますよ」。「また来る? どうぞ」。「監視を続けますよ」。「そう? ありがとう。またどうぞ」。警官がドアから出ると、「出てくぞ、バカタレどもが」と普段の口調に戻る。
  
  

学校から戻って始めて自分の部屋に入ったウィリアムは、お金がなくなっていることに気付き、叔父に食ってかかる。「どこなの?」。「何が?」。「お金だろ」(1枚目の写真)。「銀行にある。口座に入れた」。「ジャニスに返すのは、明日だよ」。「あれじゃ足りん。もっと稼がにゃいかん」「口座に入っとる。だから、オンラインで 馬に賭け、大金を稼いで、ジャニスに返せばいい」。その言葉に。ウィリアムはあきれて絶句する(2枚目の写真)。
  
  

叔父は、ウィリアムをパソコンの前に呼び寄せる。「馬に賭ける気なの?」。「ああ。唯一のチャンスだ」。「全部のお金を 1頭の馬に?」。「幸運の女神が微笑んどる。賭けるぞ」。「もし 負けたら?」(1枚目の写真)。「勝つ。勝てる。カンで分かるんだ。『成功の波』に乗っとる。今ならいける。絶対だ」。「もし、負けたら? 叔父さん、よく負けるから…」。この言葉に、叔父はハッとする。幸運は自分にはついてない〔賭けトランプで大損した。在庫も売れなかった〕。そこで、「ウィリアム、お前だ」とのたまう。「僕が何?」。「ツイてるのはお前なんだ。すべて上手く行ったじゃないか。町一番のワルに会って、そいつの犬と仲良くなり7日の猶予を勝ち取った。だから、賭けの金もできた。それに、警察が来る何時間も前に、家は空になってた」(2枚目の写真)。
  
  

「そうだったんだ。さっそくやろう。ここに座れ。馬を選べ」〔メチャな話だ〕。「馬なんか、知らないよ」。「構わん。数分でスタートする」(1枚目の写真)。そして、無理矢理パソコンの前に座らせる。「馬を選べ。急げ。さあ、選ぶんだ。ウィリアム、頼むよ。生きるか死ぬかだ」。画面の右側には出走場の名前が出ている。画面を下にずらしていくと、そこに、「バナナラマ〔Bananarama〕」という馬がいた(2枚目の写真、矢印)。この時、母のメモの「バナナを買う〔Köp bananer〕」が頭を過ぎる。これしかない! ウィリアムは迷わずバナナラマを選ぶ。叔父:「やった! 賭けたぞ。あと、10秒だ」。ギリギリ間に合った。
  
  

そして、出走。ずっと3番手についていたバナナラマは、一時6位ぐらいまで下がるが、最後になって抜群の追い上げを見せ、ゴールインした時は一着。2人は感極まり、雄叫びをあげる。「バナナラマがレースに勝って、叔父さんは僕にキスした」(1枚目の写真)。「そして、『賭けトランプめ、ざまみろ』と言い続けた」(2枚目の写真)。如何に喜んだかがよく分かる。なんせ、1着にならなかったら、叔父は死ぬしかなかったのだから。「僕は 『ジャニスに返せるの?』と訊いた。叔父さんは、『あるとも、船長殿。もっとある』と答えた」。
  
  

水曜日。正午」。ジャニスの倉庫に、大金を持って入ったのは、叔父ではなく、ウィリアム。「なぜ、叔父さんが自分で持って来ない?」とジャニスに訊かれて、ウィリアムは、「僕が来たかったから」と答える。持参したお金は部下が数え、全額確かにあった。ジャニスは、「アホ叔父に、借金はなくなったと言ってやれ」と言った後、意外なことを付け加える。「ここには男たちがいっぱいやって来る。タフガイ面してな」「知ってたか? 俺が会った中で、お前が一番のタフ野郎だ」(1枚目の写真)「でかい『パン〔boller〕』も持ってる」。ウィリアムは、“boller” の普通の意味しか知らない。画面には小さな丸いパンの写真が出てくる〔“boller” の意味は、デンマーク語・英語辞典では “bun” と “bread roll” だけ。後者がパン、前者はパンの他にスラングで「けつ(尻)」の意味がある。この場合、それで正しいのかどうかは分からない〕。ジャニスは、最後に、「クーバを散歩させる気はあるか?」と尋ねる。「外に出してやらんと、イラ立っとる。犬の散歩で100クローネ〔En hund for at lufte en hund〕。どうだ?」。ここが、一番訳に苦労した部分。出回っている英語字幕では、「A dog to air a dog?」。元々、英語字幕など見てはいないが、如何にひどいかがよく分かる。デンマーク語字幕は、先に示した「En hund for at lufte en hund?」。“hund” が2ヶ所に入り、その意味は「犬」。自動翻訳の英語字幕と似ていて、意味不明。ところが、スウェーデン語字幕を見ると、「En hundring för att gå ut med hunden?」と違う単語が使われている。これの自動翻訳は「A dog to go out with the dog?」。そこで、犬(hunden)でない方の“hundring” の意味をスウェーデン語・英語辞典で調べると “one hundred bill” となっていた。「100クローネ札」だ。これが分かると、その後の会話もようやく意味が通る。ウィリアムが「1週間で?」と訊き、ジャニスが「よし。1日でだ」と答えて、ウィリアムが満足する場面だ。これが、散歩代を1週間で100クローネとするか、毎日100クローネとするか、の意味だと分かっていないと、「よし。1日でだ」の意味も全く分からない。翻訳は結構大変だ。ここで、映画に戻る。ジャニス:「今すぐ行けるか?」。ウィリアム:「他にも、約束したいことがあるんだけど」(2枚目の写真)。画面はすぐに次に移り、この場では何も説明がないが、ウィリアムはジャニスと重要な取り決めを幾つかする〔後で分かる〕
  
  

ウィリアムが、雨の中でクーバを散歩させていると、「ウィリアム!」と声がかかる。周りに ヴィオラはいない。すると、「ここよ!」。それは、芝生に面したアパートのベランダからだった。水曜の1時頃なので、2人とも学校にいるハズの時間だ。ヴィオラが先に、「なぜ、学校に行かないの?」と尋ねる。ウィリアムは、そのまま同じ質問を返す。ヴィオラの返事は「病気」。それを聞いたウィリアムの返事は、「僕は、サボリ」〔12時に お金を返しに行った〕。「マーチンを殴ったそうね」。「お金を要求されたから」。「あなたって、危険なタイプね」。「彼らが そうさせたんだ」。「女の子が 惚れ込むタイプってことよ。たとえ監獄に入っても、待ってるわ」。「そんなトコ 行かないよ」。「あなたみたいなタイプは、そうなるの。出てくるのを、じっと待ってなんてロマンチックよね」。愛の告白を聞きながら、ウィリアムはニコニコしている(1枚目の写真)。ヴィオラもそれを見てニッコリ笑いかける(2枚目の写真)。
  
  

そして、巡ってきた日曜日。ウィリアムはトブラローネの「三角」チョコレートの超巨大版を持って病室に入って行く。1枚目の写真は、3人での静かな一時。注目は、母の前に立っているトブラローネの巨大な箱(矢印)。あらすじの3節目に、母がトブラローネの普通サイズの箱を持っている写真を入れておいたので、それと比較して欲しい。ウィリアムが、「バナナ」のメモに如何に感謝したかが分かる。母は、映画の中で初めて、普通の(変人らしくない)素敵な笑顔を見せる。きっと病状が回復してきたのだろう。叔父が黙って席を立つと〔「帰ろう」という合図を、遠慮して行った〕、ウィリアムは母に抱きつく。母は、初めて「ウィリアム」と声をかける。ウィリアムは体を離し、正面から母を見つめて、「母さん」と言う。2人は額を寄せ合う(2枚目の写真)。
  
  

病院を出ながら、ウィリアムは叔父に、「言っておくことがあるんだ」と声をかける。その言い方が、少しきつかったので、叔父は、「意味深だな」と受ける。「ジャニスと約束したんだ」(1枚目の写真)「叔父さんは、ジャニスとは もう賭けトランプをしない。二度とだよ」。「おせっかい 焼くな」。「ダメダメ、焼くよ。警察が見張ってるから、盗品はもう売れない。ジャニスは、叔父さんの盗品を、誰にも買わせない」。さらに、「他の人は、早期退職して暮らしてる。なら、できるはず。僕が毎日100クローネ稼ぐから、何とかなる。分かった?」〔1ヶ月換算で4万2千円。2人で生活することは不可能〕。「他には?」。「母さんを『変人』って呼ばないで。『コケコッコー』も『ガーガー』もなし。僕の母さんで、あんたの姉さんで、病気なんだから」「『ゲイ』や『バカタレ』ってのも止めて欲しい。これからは、お互いフツーに話そうよ。分かった?」。「ハイハイ」。「全部 言ったよ」。「そうか」。話し終えてもウィリアムがなかなかバンに入ろうとしないので、叔父は、バンを手で指して、「招待状が欲しいのか〔Skal du have en skriftlig invitation?〕?」と訊く。ウィリアムは、思わずニヤリと笑い素直に乗車する。別れ際に母が渡した3回目のメモには、「歯磨きを忘れない」と書いてあった。これは、ウィリアムが、最近忙しくて歯磨きを忘れているから、そう指示しただけで、前の2回の時のような「魔法」の意味はない。バンに乗りながら、ウィリアムは考える。「不運なこと… 父さんが死んで、母さんがおかしくなった」「幸運なこと… クーベが僕を好いてくれ、馬も勝った」「でも、僕だって努力したんだ。思い切って。ジャニスに会いに行ったし、マーチンをやめさせた。ニルス叔父さんが、二度と賭けられないようにした。ガールフレンドも できた。僕は僕。世界の一員だ」。
  
  

    の先頭に戻る                 の先頭に戻る
   デンマーク の先頭に戻る          2010年代後半 の先頭に戻る

ページの先頭へ